top of page

Method

業績改善の具体的方法論

CS向上のアイディア ~お客様をお名前で呼ぶ方法~

CS(顧客満足度)を高めるための施策は、どこのホテル旅館でも取り組みをされていることと思います。

取組む分野としては、各OTAや旅行代理店の評価項目にもあるように、施設、客室、食事、風呂、清潔感、接客サービス、などが挙げられます。本稿は接客サービスについてのひとつのアイディア、考え方についてです。

 

「お客様をお名前でお呼びしよう」というテーマを掲げることが多くあると思います。お客様は自分の名前で呼ばれることにより、「大勢のうちの一人」として取り扱われているのではなく、そのご本人のことをきちんと認識して応対してくれているのだなと共感することができるのでとても良い方向性の取組みであることは間違いないと思います。

 

ここでも、重要なことは100点満点を目指して気が遠くなるのではなく、出来ることや出来る範囲で実行するということだと考えます。

例えば、

  1. 旅館向けの最新の運営システムを導入して、駐車場付近に設置したカメラで車のナンバーを読み取り該当するお名前をスタッフが携帯しているタブレットに配信する、ということが出来ます。勿論、それなりの投資やタブレットを使いこなすまでのトレーニングが必要です。

  2. 新規のお客は無理ですが、リピーターであればあらかじめ車種とナンバーを顧客情報として管理しておけば玄関に到着した時点で、お名前で呼ぶことができます。

  3. 少なくとも、ご到着後、フロントでチェックインする際にはお名前を名乗り署名された時点でお名前とお顔が一致するので、それ以降案内係りが部屋まで行く道中でお名前で呼ぶことができます。部屋の装備の説明を終え退室する際に「〇〇 様、他に何か御用がありましたらご遠慮なくお申し付けください。」と言うことが出来ます。

  4. ある老舗旅館での実際の例ですが、その旅館は玄関で靴を脱ぐスタイルなので下足番がおり玄関の脇の下足部屋には部屋番号とお客様のお名前を記してあります。その下足部屋とフロントは裏側の短い距離でつながっています。会計をすませたお客様の部屋番号をフロントからこっそりすばやく伝えると、朝の下足係りはそれまではお客様のお名前と顔は把握していませんがお客様が沓脱に来る間前に靴が揃っており、「〇〇 様、ありがとうございました。」と声をかけることが出来ます。思わぬタイミングで名前で呼ばれたお客様は少しばかりにっこりされます。

  5. 接客中、普段は「呼びかけ」の言葉を添えないフレーズに敢えてお名前を添える。
    レストランのお会計時に「ありがとうございました。」→「〇〇様、ありがとうございました。」
    部屋食であれば、食事が終わって座卓を片付けた後に「では、ごゆっくりお休みください。」→「〇〇様、他にご用はありませんか。」等。

  6. フロントに架かってくる内線は、通常は部屋番号がディスプレイ表示されるでしょうから、この場面を逃がす手はありません。

冒頭にも申し上げましたが全てのお客に滞在中すべての時間帯で、を目指すのではなく、可能なお客様に可能な範囲、可能なタイミングで、という割り切りが大事です。そういう考え方で初めの一歩を踏み出せば、もっと出来ることが次々と見えてきます。

例えば、④の例では、館内のスタッフへの取組みの徹底は事情により後回しになってしまいましたが、無理やり理屈づけをすれば「ピーク・エンドの法則」に合致していたのかも知れません。

 

 

なお、「我々は接客サービスのプロなのだからお客様の顔と名前ぐらいは頑張って憶えましょう。」のみの掛け声はナンセンスです。しくみが必要です。

また、ロビーに響きわたるような大きな声で元気に、「〇〇様 ご到着されましたぁ!」もいただけません。個人情報保護という面での問題もありますが、その元気な大きな声を出した以降、他のスタッフがそのお客様をお名前で呼ぶことが出来るメカニズムがありませんのでその場だけの単なるアピールに過ぎず、多分お客様の琴線に触れることはないでしょう。むしろ、人前で私の名前を大声で言わないでよと思っていらっしゃるかも知れません。

また、ワンポイントのアクセントで十分だと思います。妙にマニュアルっぽく強化して、夕食会場で追加オーダーを聞くたびに「〇〇 様、ご用は?」と言われるとかえってわざとらしくなってしまい、良い印象になるとは限らないと思います。

 

お客様をお名前で呼んだ時に「ん? あなたの名前は?」とお訊ねになり、互いに名前で呼び合うなどという粋なお客様もいらっしゃるかも知れません。

bottom of page