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Method

業績改善の具体的方法論

FBC② FBC(食材・飲料材の原価率)について、大切な考え方(その2)

FBC(食材・飲料材の原価率)は、ホテル旅館の経営運営に於いてとても重要な指標とされていて、そのことに異存を唱える人はほとんど居ないと思います。

 

また、大きなホテルではF&Bコントローラーのような専門の部署(担当スタッフ)が配置されるケースもあり、あるいは運営指標に関することなので経理部署の業務としているところがあり、はたまた仕入れに関わる部分が多いので調達(用度、仕入)部署がその算出を担当する場合も多くあります。

 

 

レシピー原価の「金額」だけを論じて「売値いくらの料理をいくらで仕上げる」だけの取組方は論外としても、「原価率は洋食は〇%、和食は〇%」を至上命題のように唱えて1か月が終わった時点で達成・未達に一喜一憂する姿は、皆さんどこかのホテル旅館での勤務で経験したことがあるのではないでしょうか?確かに「食材・飲料材の原価率」という用語なので、それ自体は誤りではありません。

 

大きな事業規模、大きな組織を擁する大型ホテルであれば決められた一定の基準に沿って各部署が業務に邁進することの結果として会社全体の収益が目標またはそれ以上に到達するというロジックで企業運営がなされるのでしょうけれども、日本の多くのホテル旅館はそのような大企業のほうが稀で多くは中小零細企業群に属します。建物が大きくグーグルマップにも大きな文字で施設名が表示されるからといって、勘違いしがちですが、客室300室程度でも年商「数十億円程度」のホテルという企業は決して大企業ではありません。そのような事業規模の企業は、そのような事業規模なりのマネジメントが行われる必要があります。FBCは「率」を論じる業務ではありますが、すべての仕事は最終的には全館の「利益」の増大につながる道でなければなりません。

 

従来、品質や価格をそれなりに厳しく査定しながら仕入れをしてきたのであれば、取引先とのそれ以上の価格交渉はそう簡単なことではありません。無理を押そうとすると品質の低下=料理という商品力の低下=お客様の満足度の定価につながる危険さえあります。それでもなおFBCの「率」に拘るのでしょうか? 安い材料で美味しい料理を作るのが調理の腕前などと言うのは確かにその側面は無いことはありませんが、おおむね精神論でしかありません。

 

本稿では、FBCという係数管理の素地があることにより議論できる一例をとりあげます。

例えば、洋食主体の宴会プランで、標準的な原価率が28%で運営されているホテルや旅館で、書き入れ時である忘年会新年会プランの企画内容を検討しているとします。プラン料金は、通常であれば料理4,200円、フリードリンク1,800円の内訳で6,000円。(室料・サービス料・税金は話を簡単にするために省略します) また、どこのホテル旅館でも行わられる手法ですが、忘年会新年会シーズンは書き入れ時なので料理原価・飲料原価とも30%が認められているとします。過去実績は、件あたり人数は平均50人で、100件獲得(5,000人)だったとします。宴会セールス部隊は、発破をかけられてセールス活動に取り組むことと思います。

 

ここで、下記の表をご覧ください。

(1) は、通常の企画内容の商品ブレークダウンと想定される粗利の合計値です。

(2) は、商品の魅力度を上げるために料理原価率を10%アップの奮発をするケース、人数(受注件数)は変わっていないので当然粗利は減少します。

(3) は、料理原価率を5%だけ上乗せして商品力を高めてその効果として人数が10%多く獲得できるケース。

(4) は、料理の売値を500円高くして料理原価率を10%上乗せし、人数は5%多くなるケース。

(5) は、(4)の商品企画による効果で、人数が10%多くなるケース。

各論/FB編>FBC ②  FBCについて、大切な考え方(その2)  2021 08 07_部品.png

(3)(4)(5)は、いずれも、本来目標とされている「原価率」をはみ出してしまっていますが、通常の企画内容よりは会社として獲得できる粗利は増えます。(原価率が上がったろ料理単価が上がることによりサービスの手間は変わらないものとします。)

闇雲に「率」に拘るのではなく、「実を取る」考え方の一例ですが、このような議論が出来るためにもFBCに関する基本動作がしっかりできていること、実績値をちゃんとカウントできる体制があって結果の検証(良い結果を喜んだり、反省したり)が出来ることがとても重要です。

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