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Method

業績改善の具体的方法論

FBC③ きちんとしたFBC(飲食材の原価管理)のルーチンを確立しようと思うと、なかなか骨が折れます。(その1)

〇今からきちんと取り組もうとしているホテル旅館を前提にしていますので、

既にルーチンが構築できていることについては読み飛ばしてください。

 

 

料理原価については、経営改善のお手伝いに赴くホテル旅館での調理の方からのヒアリング項目には必ず含まれます。その際、良く耳にするコメントとして、「社長からは夕食一食あたり2,500円の原価で仕上げるようにと言われており、そのようにやっている」「棚卸は年に一回はきちんとやっている」「館全体の売上に対して原価率は15%ぐらいでやっている」ということがあります。料理原価に対する意識があることは良し、しかしながら「些細なことの地道な積み上げで利益を増やし、コストをセーブする」ホテル旅館の運営という面では少々物足りないと言わざるを得ません。もとより、形の違う人参や大根、精肉を切り刻む仕事であり、大事なお客様には特別対応することもあるなど、デジタルとは言い難い仕事の結果を数字として管理しようと言うのですから、精度を高めようと思っても自ずと限界はあります。さりとて100点満点は取れないのだから50点で良しとしていては、やはりそれは丼勘定の域を出ないこととなってしまいます。ホントにホントに厳密な計算は出来ませんが、それでも出来る範囲、工夫を思いつく範囲で少しでも数字の精度を高めていく粘り強くかつ柔軟な姿勢が大切だと考えます。誤差のある数字3日分は誤差がそのまま表現されてしまいますが、1年分となるとなかなかどうして極めて正確な数字としての価値が出てきます。

 

では、きちんとしたFBC(飲食材の原価管理)を行うための“インフラ整備”について以下、述べていきます。

 

① プラン料金のブレークダウン(料金内訳)を作ります。旅館や観光ホテルなど1泊2食プランが主要商品の場合は、とくに重要です。

各論/FB編>FBC ③  きちんとしたFBCのルーチンを確立しようと思うと、なかなか骨が折れます。(その1)  2021 08 08_部品 1.png

例えば、こんな感じです。サービス料は無いものとしています。

プラン料金は平日・休前日料金の2種類、あるいはもっと細かいレート・コントロールにより、また1室あたりの宿泊人数によっても変動しますが、夕食・朝食代、チケット代はそれとは関係無く一定の金額なので、室料がプランの販売価格によって変動します。

余談ながら、この表に料理原価や客室原価の数字などを書き加えてして、宿泊プラン1件あたりの粗

利を整理するとこうなります。

各論/FB編>FBC ③  きちんとしたFBCのルーチンを確立しようと思うと、なかなか骨が折れます。(その1)  2021 08 08_部品 2.png

つまり、この宿泊プランが一人に売れた時、ホテル旅館側の粗利は黄色の欄の数字になります。これに1室にお泊りになるお客様の人数を掛け算すると1室あたりの粗利になります。

この数字をきちんと計算して認識することは運営管理上、“余談”どころか、とても重要なことですが、本稿は原価管理に関することなので、別稿にて取り上げたいと思います。ここでは例として一つのパターンを掲載しましたが、販売プランが5種類あって、販売レートが5種類あって、1室あたり1名~4名の宿泊が可能とすると、全部で5×5×4=100種類の表になります。結構、大変な作業です。

② 販売プランのブレークダウン(内訳)が出来たところで、売上を室料売上、料理売上、付帯売上、ブレークダウン表にはありませんが飲料売上に仕訳して管理するしくみが必要です。多くのホテル旅館で導入しているPMSがやってくれますが、基本的な情報(すなわち、①の100種類のブレークダウン)を正確にマスター登録しなければコンピューターは何もやってくれません。また、マスター登録ばかりでなく、日々の商売の中でも値引きが発生した場合、その値引きをどの売上から差し引くのかもきちんとルール化すべきです。これも、結構、面倒で大変な作業です。

③ 標準原価(レシピー原価)を設定します。

これは比較的多くのホテル旅館でやっていらっしゃいます。明らかな定価のある瓶・缶製品、冷凍食品、比較的相場変動の少ない精肉鮮魚はともかく、相場変動の多い青果の単価はどうするか? アバウトでいいのです。これこそが冒頭に述べた「柔軟な姿勢」による割り切りです。相場変動の大きい食材については当月の平均単価の値を採用するという考え方もありますが、やれるならやってください。しかし、そうすると毎月レシピー原価一覧表も改定する作業もセットでやらないと片手落ちとなります。割り切り方は…、売値10,000円のコース料理の原価を3,000円(原価率30%)として、一般的に青果は食材仕入れの15%ぐらいして450円、ここに仮に±10%の誤差が含まれるとして±45円、売値のたった0.45%です。この数字に拘る前に他にやることやれることは沢山あります。例えば、和食の出汁や自家製の造り醤油などに関するコスト。こちらのほうが馬鹿にならない数字かも知れません。これらは仕入れ単価から積み上げることが難しいので2~3か月間使用量の実績をとって食数で割り算をして何かしらの数字を設定するというやり方が現実的と思います。事ほど左様にFBCのインフラ整備には骨も折れますし、時間もかかります。

 

(つづく)

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