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Method

業績改善の具体的方法論

マルチタスク① 

マルチタスク化推進の基本的な考え方

〇マルチタスク化は、人件費削減という短絡的な側面ばかりでなく、運営体制や経営の構造を変える転機となるもの

 

 

 

①会社全体の生産性の向上

「マルチタスク化」の目的を一言でいうならば「会社全体の生産性の向上」です。生産性向上のための施策は他にも色々ありますから、「マルチタスク化」はその手段の一つということになります。

日本の宿泊業は、小・中規模の事業所が多いのが特徴です。多店舗展開しているような場合には大企業に分類されるホテル会社もありますが、それでも一つ一つの事業所単位ではやはり小・中規模事業所となります。

宿泊業は、事業規模が小さく労働集約型の典型で経営効率が悪い業態、というイメージがありますが、財務省の企業法人統計調査資本金の額により零細・小・中・大企業に分類しているによれば、宿泊業は小規模事業所のゾーンの中では売上規模はそれほど遜色がありません。また、多くを占める製造業の原価率~%に対して宿泊業のそれはおおよそ~%。人件費が嵩むと言われますが、人件費率で見ると宿泊業はおおよそ~%あたり、他業種の~%あたりに比べると割高ですが、原価率ほどの開きはありません。ところが営業利益ベースでは確かに他業種よりも低い水準となっています。そして、低い水準と言うことと、もうひとつの特徴は不安定ということです。

つまり、宿泊業の解決すべき課題は「商売の波」なのです。売上の多い少ないの、曜日の波動、月や季節の波動、場合によっては年度ごとの波もあります。日の中にも忙しさが集中する時間帯とそうでない時間帯があります。これを平準化させることは経営の安定化のためには必須のテーマです。売上の平準化のほうは、平日・週末お構い無しにお越しいただけるインバウンドで実感したのも記憶に新しいところではないでしょうか?

そこで、人件費の平準化のためのひとつの策が「マルチタスク化」ということになります。

②人件費を減らすのではない。

こういう見出しから始めると誤解されるかもしれませんが、ご安心ください。結果的には人件費は減ることになると思います。

アイドルタイムという言葉があります。例えば、レストランで昼食と夕食の営業時間の間の時間帯、大抵の店舗はクローズします。お客様が居ない、つまりはヒマ、お休みタイム。マルチタスク化の基本的な発想はその時間帯に社員も一緒になって休んでしまうのではなく稼働する、ということです。

昔のホテルや、今でも旅館では少なからず「中抜けシフト」を採用しているケースがあります。これはお店がクローズしている間は社員も休んでもらう=賃金が発生しない、という考え方です。

ところが、社員の側からすれば~時間休んだところで銀行のATMに行くぐらいのことは出来ますが事実上の拘束時間という感覚ではないでしょうか? 少なくともユニフォームを私服に着替えて彼彼女と短いデートは出来ないと思います。旅館の仲居さんで中抜けの時間帯に小さいお子さんを保育園から引き取っておばあちゃんの家に預けるので中抜けは便利、などのケースもありますが、これは「多様な働き方」や「ダイバーシティ」の文脈の中でそのような勤務のし方への対応を考えることとして取り扱うほうが合理的と思います。

一方、会社側としては、大切な社員をいつまでも営業時間中だけの現場要員のままにしておいては人材育成にはならない、という捉え方をすべきだと思います。

そこで、マルチタスク化。営業時間中の現場仕事とは別に、お店のアイドルタイムには別の業務に当ってもらうということです。

従来、ホテル旅館業は専門職の集まり、のような組織運営をしてきました。それではその専門の業務がヒマな時には社員もアイドルタイム、また、それ以外の業務については別の人を雇うことにより分業化がどんどん進んできました。それぞれ細切れの業務範囲に対する賃金を払うのであればよいですが社員は従量課金制ではなく、一定の所得を必要としています。マルチタスク化により、安定的な所得を社員に与え、事実上の拘束時間を短くして、分業制に基づく人員の雇用をセーブすることが出来ます。

 

③一人一人の社員のスキルを上げることにより会社全体のレベルをアップさせる。

営業時間中の接客サービス業務とは別に、その部署のバックヤードの仕事や周辺領域の仕事、場合によっては全くことなる他部署の業務を担うことにより、その社員の幅が広がります。

その中で、社員の新たな適性や可能性が見つかるかも知れません。また、社員も今までは気づかなかった仕事への興味を持てるかも知れません。仕事への興味は、エンゲージメント、離職防止への有効な要素の一つです。

 

このように、マルチタスク化の推進は、短絡的に「人件費の抑止」という側面だけで考えるのではなく、もっと多面的に考えて取組むことだと考えます。

付け加えるならば、マルチタスク化は「館内ヘルプを多用する」こととは異なりますので、多面的に、あるいは部署間の連携の手法の見直しにまで取り組まないとなりません。

マルチタスク② マルチタスク化の体制づくり(その1)

  〇先ずは、仕事の棚卸から始めましょう。

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