top of page

Method

業績改善の具体的方法論

SDG’sのことについて少し語ります。

〇SDG’sはCSV。CSVは三方一両得。経営理念の真ん中に置いても良いぐらいの話。

 

 

 

本稿は、運営を改善することにより業績を改善していく具体論について私たちの経験、知見に基づいてお伝えしていくことを基本としていますので、今回のテーマはその趣旨からは少し外れてしまいますが、SDG’sの機運が高まっていること、また、ホテル旅館の経営・運営にとってとても大事な側面でもありますので敢えて一文を書きました。

数年前から、ちらほらと耳にするようになったSDG’sという言葉。ここのところ、かなりの頻度で耳に目にする機会が増えています。ひとつの流行とも言えます。また、ホームページ上などで多くのスペースを割いて「当社のSDG’sへの取り組み」を紹介しているホテルや旅館も少なくありませんが、私たちはSDG’sの根幹はCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)だと解釈しています。

 

ここで、ちょっとSDG’s宣言に至るまでの経緯を整理してみます。

時は1800年代の産業革命まで遡ります。なお、私たちは学者でも経済評論家でもありませんので、ここから先は極めて独善的、かつ、ある一つの側面だけを切り取った内容であることをお断りしておきます。

 

ドイツの社会学者であるマックス・ウェーバーが1905年に「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」の中で「資本主義の精神は、単なる拝金主義や利益の追求ではなく、利潤の追求と社会への貢献は表裏一体のものである」としていたものが、経営効率を求める過程の中で企業の利益と社会の利益が乖離をしていきました。活発な企業活動により社会の利便性は向上しますがその反面、公害問題や弱者である労働者からの搾取の問題など、社会への不利益も生じました。今、最も大きな懸念となっているのは環境問題です。その正負を相殺したいかのようにCSR(企業の社会的責任)という考え方が生まれます。しかし、これはボランタリーに文化活動やNPO活動へ協賛協力するなど、必ずしも企業の本業とは軌を一にしないものも多くありました。

一方、1970年代頃から経済成長と環境問題の調和の議論が始まり1990年代にはSRI(Social Responsible Investment:社会的責任投資)という考え方につながり、2006年には国連がPRI( Principles for Responsible Investment:責任投資原則)を提唱します。従来の財務的側面だけでなく、企業として社会的・倫理的な責任を果たしているかといった状況も考慮して投資対象を選ぶというものです。今はESG投資の議論花盛りですが、もう15年も前のことです。

さらに2011年、米国の売れっ子の経営学者マイケル・ポーターが「Creating Shared Value(共通価値の戦略)」という論文を発表します。企業活動と地域社会や環境への利益は相反するものではなく、企業は社会のニーズや問題に取り組むことで社会的価値を創造し、その結果、経済的価値をも創造されるというものです。すなわち、企業活動と社会貢献は直結するというのです。

そして、いよいよ2015年9月に国連は国際社会の共通の目標としてSDG’sを採択します。さらには2019年、米国の巨大企業がメンバーとなっている経済団体であるビジネスラウンドテーブルがそれまでの「行き過ぎた株主第一主義」を見直し、従業員や地域社会などの利益を尊重した事業運営に取り組む」と宣言するに至ります。

と、ざっとこんな感じです。SDG’sという概念が突然ポンっと出てきたわけではないのではないかと思われます。資本主義が生まれて発展した頃から既に企業活動と社会的貢献(福祉や環境と言ったもの)をどのように折り合いをつけていくかということが議論されていたと考えられます。SDG’sが欧米発と言うことはもしかしたらキリスト教などの宗教に根差す部分があるのかもしれません。(日本にも古来、近江商人の「三方良し」や「お互い様」という考え方がありました。)そこまで遡らないまでも、つまり、私たちホテル旅館などの企業がSDG’sへ取り組む根底にあるもの、あるいはそれを促進させるものは、企業活動の利益と社会的利益は表裏一体、つまりCSVという考え方であるということです。

本業とは異なるものに取って付けたように寄附行為をするのではなく、少々下世話な言い方をすればSDG’sが掲げる目標への取り組みを実践しつつ商売をしなさい、そうすれば儲かります、というお話。言うなればSDG’sはCSVの具体的な処方箋であると考えることも出来ます。

言われてみれば当り前のことで、サービス残業が横行している旅館には泊ってくれない時代になる、それ以前にそのようなホテルや旅館は活気も無いだろうし、楽しくもないし、癒しの「気」を発していないだろうから、そもそも客足が遠のくということです。これまでは、少々辛い労働環境でも社員が感じるやり甲斐や責任感でどうにかなったがこれからはそのような非論理的な動機では前向きな人は就職してくれない時代になるということです。

SDG’sへの取り組みは「コスト」ではなく、経営が良くなる指南書です。

 

 

SDGs宣言に示されている17の目標は互いに相関し合うものでもあるので一つの取り組みに該当する目標は複数に及ぶことになりますが、ちなみにホームページ等で積極的に発信しているホテル旅館の取り組みを敢えてひとつの目標に絞って印をつけてみたところ、「働きがいも経済成長も」「つくる責任 つかう責任」が最も多く、「パートナーシップ」「すべての人に健康と福祉を」が続きます。SDG'sの目標の中には、政治や行政、公的機関が主となって取り組まなければ実現しないものもありますのでホテル旅館として身近なテーマとしては妥当と思いますが、一方そこに書かれていることは宿泊業として極めて重要な課題でもあるとも思います。あるいは経営理念、運営基本方針に据えても良いようなレベルのものだとも思います。冒頭書いたように多くのホテル旅館が大きなスペースをとってSDG’sへの取組についてアピールしています。発信することもSDG’sでは重要な要素なのでそのこと自体はとても良いことだと思いますが、そもそもの経営理念との整合性はいかがでしょうか? 是非、社内で議論してみてください。

マルチタスク① マルチタスク化推進の基本的な考え方

  〇マルチタスク化は、人件費削減という短絡的な側面ばかりでなく、運営体制や経営の構造を変える転機となるもの

bottom of page