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FBC④ きちんとしたFBC(飲食材の原価管理)のルーチンを確立しようと思うと、なかなか骨が折れます。(その2)

〇きちんとしたFBCを行うための“インフラ整備”について書いています。

〇今からきちんと取り組もうとしているホテル旅館を前提にしていますので、既にルーチンが構築できていることについては読み飛ばしてください。


④ 料理原価に含まれる範囲を決める。

肉・魚・青果や調味料の他に料理の製造に供されるものはまだまだ沢山あります。まず、飾り物類、花びら、葉、串、マグロ紙、敷紙など。これらは食材でしょうか? 消耗品でしょうか? また、フレンチのコース料理にセットされるコーヒー、これは食材でしょうか? 飲料材でしょうか? 筆者の考え方は、飾り物類は料理を仕上げるための製造原価すなわち食材、コーヒーは飲料材ですが、それが唯一の考え方とは申し上げません。それぞれのホテル旅館での長年の歴史や慣習、調理の責任者それぞれの基本的なスタンスなど、色々な考え方があっても良いと思うので社内で十分に議論をして皆が納得するルールをその会社のルールとするべきだと思います。ただし、葉っぱや串は食べられないので食材ではない、コーヒーは一連の料理の流れの一部なので食材、等と言う類の理屈は何も建設的な答えを導き出しません。原価“率”という数字はひとつの指標、目安であって、大事なことは日々の実際の仕事で「お客様に満足を与えられて、かつ、会社の適正な利益を確保できるか」です。世間一般の物差しと少々異なるルールであったとしてもその基準に沿って製造原価まわりのオペレーションを管理監督して無駄やムラをいち早く見つけて是正することが重要です。


⑤ 費用振替するルールを確立する。

当たり前の話ですが、食材・飲料材の原価率と言うのは決算に反映される数字そのものではありません。あくまでも運営管理に役立てる指標です。この指標が表現することは「調理セクションが材料の思わぬ無駄な使い方、非合理的な調理作業をせずに適切な仕事をしているか」ということです。

と言うことはセールスマンが普段とは違うレベルの値引きにより受注した案件で分母(売上)が予定よりも少なく、しかし通常の原価がかかっている分をそのままにしていては調理セクションが「適切な仕事をしているかどうか」を正しく判定することは出来ません。同様のことは、会社としての接待に使われる場合、販促効果を狙って通常料金のままグレードの高い料理をセットする宿泊プランを造成する場合、料理撮影に使われる材料費、試作や試食、研修に使われる材料費などについても言えます。これらを純全たる商売に使われる材料費から除外するルールが必要です。コンプリメンタリー伝票(ST伝票)、試作伝票、ロス伝票、などです。これらの伝票に計上された材料費を販促費、広告宣伝費、交際費、教育研修費などに振り替えるしくみが必要です。

これもどこまでやるか(やれるか)は、程度問題です。サービスの粗相のお詫びにお造りを一品サービスすることをいちいち伝票処理できるか(すべきか)は、考え方次第です。理論上は勿論完璧にやることがベストですが、どこかのレベルで妥協するラインを設定します。100点満点はとれないけれど、70点と80点では80点のほうが良いのですから。なお、ちなみに若手のコックさんが仕入れた魚をうっかり腐らせてしまったものはロス伝票の対象ではありません、念のため。


⑥ 在庫のカウントのルールを作る。

例えば、醤油やオリーブ油が瓶の半分残っていたら0.5本とするか、開栓したら0本にするか?

小袋×5=1箱は、小袋単位でカウントするか、箱単位でカウントするか、小袋×20=1箱の場合

はどうか、ということです。これ、書くと一言で終わってしまってあまりにも当たり前のことですが、

皆さんのホテル旅館で一体何種類の食材や飲料材が納品されているでしょうか? 優に300~500品

目ぐらいにはなるのではないでしょうか? これらすべてにルールを設定しなければなりません。ま

た、取引先からの納品書の中には、1箱の単価しか記載されていない場合もあり、小袋単位の単価は

自分達で計算しなければならなに場合もあります。これも結構大変です。なので、「なかなか骨が折

れます」です。

ちなみに、醤油の瓶は0.5本でも、1本または0本でも。どちらでも構いません。6本入り1ケース

単位は少しばかりどうかと思いますが。大事なことは同じルールを継続することです。なにせ相手は

1年間分の数字なのでルールさえ継続されていれば波動を観測することが出来、指標の役目を十分に

果たしてくれます。



以上がきちんとしたFBC(食材・飲料材の原価管理)のオペレーションを始めるに際しての、言わば準備作業です。これだけでもかなりの業務量なので、途中で挫折しないように頑張るしかありません。また、そのためにはどなたか(多くの場合には経営者の方であるべきだと思います)が、強力なリーザ―シップをとって業務を進めることが良いと思います。骨が折れます、気合と根気が必要です。

加えて、FBCと言うのは、最低でも1か月分の過去データを元に、振り返りしかできないという性質のものです。うれしい結果が出て喜んだり安心したりするのも、悪い結果が出て反省するのも、スタートしてから1か月後です。その間に何かのオペレーション上のミスがあればやり直しは利かないのでもう1か月後になります。筆者の経験では、初めてFBCに取り組む旅館では、満足するルーチンが確立するのに3~4か月かかります。どこまでも、骨が折れて、経営を改善したいという信念に基づく粘りと忍耐力が必要なFBCなのです。しかし、ホテル旅館にとっては極めて重要な運営指標なのでやらなければなりません。

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