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Method

業績改善の具体的方法論

すべて、数字で検証し、共有しましょう。

運営改善の仕事の初期動作の一つとして各現場スタッフからのヒアリングを行います。

現場の実態を生の声で知ることが出来るのは当然のことですし、それらのコメントと入手している過去データと見比べることにより、運営状況に対する現場スタッフの認識や解釈の整合性を確認することも出来ます。もし、ここで現場のコメントとデータの内容に乖離があれば、日々の運営に潜む問題点を見つけることも出来ます。

 

とある地方の中規模ホテルのレストランで朝・昼・夜、曜日ごとのお客様の入りの状況を質問する、「曜日によりかなり入客数の波がある」とのことでした。そこで、「やはり、週の初めは、お客様は比較的少なくなりますか?」と聞いたところ、「いえ、月曜日も結構混むことがあります。」との返事が返ってきました。こちらは、「そうなのか。あまり曜日による波動は関係ないのか?」と思いつつ、売上データを見ると、やはり月曜日は他の曜日よりは比較的数字が小さい(売上が少ない)。一方、管理部門の担当者に聞くと、「人件費抑止の観点から、近頃は日によって配置する要員の数を変えている。」とのことでした。

この話は、次のようなことでした。

そのホテルでは、人件費を節約するために月曜日は少なめの要員を配置することが多く、その月曜日に予想以上のお客様(そこそこの入客数)が来店すると普段より少ないスタッフで、そこそこの入客に対応することとなりサービスに追われることになる。つまり、「忙しい」。当日のスタッフが「忙しい」と感じることと「売上」の大きい小さいは必ずしも一致しないということです。

 

問題点は、3つです。

1つ目は、きちんとした数字の裏付けをもとにシフト組みのルールを作りきれていないこと。

2つ目は、その数字を現場のスタッフがちゃんと共有できておらず、また、配置人数に応じたサービスのフォーメーションをきちんと構築していないこと。

3つ目は、2つ目から派生することとして、現場が粗相やクレームを避けるために結局は人員のコントロールをやりきれていないこと。

 

つまり、無駄な人件費をセーブするという目的は正しく、曜日波動という側面を捉えてその傾向に従って人員をコントロールしようとする方法論も正しいのですが、結果として現場レベルにきちんと落し込まれていないということになります。

 

「忙しい」は、感覚や印象の問題です。しかし、入客数や売上等の実績は厳然としたデータ、すなわち数字として示されるもので余計な解釈が入るものではありません。

 

これらの問題点の原因は、常に「数字」を拠り所にするという習慣や姿勢の不足だと考えます。

その「数字」が示す事に基づいて決まったオペレーションを修正変更して良いのは大人数の予約が複数入っているなどのこれまた明らかな数字によるものだけです。

全てのことを数字で検証し、その内容を現場ともども共有することが運営の効率化の第一歩となるひとつの事例です。

 

事例は、他にも沢山あります。例えば、予約のリードタイム。

一般的に、都市部のビジネス需要が多い宿泊特化型タイプのホテルはリードタイムが短くリゾートホテルや旅館はそれよりも長いとされています。また、GWを含む5月、夏休みの8月、秋の行楽シーズンの10月11月、その他の月、ごとに傾向には違いがあるとされています。貴ホテル・貴旅館では、果たしてどのようなことでしょうか?ブランド力、料金帯、立地している地域に於けるポジションなどにより、施設ごとに特性は異なるのではないでしょうか? 5月にしても、GW期間中は特殊性があるとしてもその他の日付は、他の月とさほどの違いはないのではないでしょうか? これを一口に5月と括って傾向を把握・認識する姿勢は「数字」を大切に扱うことにはなりません。あるいは団体案件と個人客を合算して漫然と平均値をとっていないでしょうか? また、チャネル別にみても、電話予約は比較的早めの予約(リードタイムが長い)が多く、OTA系はリードタイムが短めの傾向が出るのではないでしょうか?さらには、高単価のプランと廉価版の価格訴求型プランでも差異があると思われます。

これらのことは、何も学問とか研究対象として事細かに数字を分析しようと言っているのではありません。例えば、オンシーズン向けのキャンペーンの準備の締め切り日を教えてくれます。と言うことは、業務全体のスケジュール的な優先順位を示してくれるということです。また、ブッキングカーブを眺める際に下敷きになる目線を養ってもくれます。早割プランの日数の刻み方も示唆してくれます。

 

なお、これらの数字を拾い出す作業を今までやって来なかった場合には、新たにルーチン作業のフローを作ることはそれなりに手間とエネルギーが必要となりますが、ルーチン化してしまえば月次の小口現金の締め作業と同じようなレベルの作業となることを申し添えます。

 

フロント事務所や予約事務所の時間帯ごとの要員配置についても、電話の通話データや予約システムのログを調べれば時間帯別の負荷が明らかになります。そのデータに基づいて勤務シフトを作成します。勿論、人間には“小数点”は当てはめられませんので、「手待ち」になる時間はどうしても発生します。そうであれば、マルチタスクの考え方によって空き時間にこなしてもらえるような担務を作るなどすれば、無為なアイドルタイムは減り、固定人件費はどんどん有意義なものにしていくことができます。

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