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Method

業績改善の具体的方法論

できるだけ細かいセグメントで収支を確認する習慣をつけましょう

〇「利益」に対する意識を高めることが重要。

 

ある旅館では恒常的な赤字体質が続き、抜本的な経営・運営改革、場合によっては事業スキームの変更が必要な状態でした。そのような状況に至る要員は様々ありますが、販売面に於いては不適切な廉価販売もそのひとつでした。部屋の定員に近い同伴係数の団体中心で販売してはいたもののかなり低い料金の販売に終始していました。そこの調理部の方は、その当時のことを「来る日も来る日も、あんなに忙しい思いをしていたので、会社は絶対に儲かっていると思っていた。その割に給料は上がらないので不思議に思っていた。」とおっしゃっていました。

確かに調理部は販売プランごとに内訳される値段の料理を作るのが仕事であり、(部屋数)×(4人とか5人)の食数を作るので、その分だけの料理売上は計上され、毎日押し寄せる団体客のおかげで毎日忙しく仕事をしていたということになります。ところが、その他の客室コストや料飲サービスにかかる人件費や消耗品費や旅行会社の手数料を含めると実は採算がとれていなかったということだったのです。

 

言うまでもありませんが、企業経営のメシの種は「利益」です。

収支の構造は、一定程度は決まったものがありますので「売上」を見れば業績の良し悪しを推し量ることが出来ますが、極論してしまえば「売上」はバロメーターのひとつであり、やはり重要なのは「利益」です。経営者や運営幹部は勿論のこと、運営スタッフの一人一人が「利益」に対する意識を高めることは業績向上のひとつの前提条件、インフラのようなものだと考えます。

 

具体的には、

・宿泊プラン別にレートごとの粗利

素泊りプランは客室アメニティー、清掃費、リネン費等の客室コストを差し引いた粗利。

1泊朝食や1泊2食のプランは、客室コストに加えて食事の原価を差し引いた粗利。

近隣の美術館のチケット付き・エステ付き等の付帯サービス付きプランは、さらに付帯サービスにかかる仕入れコストを差し引いた粗利。

 

・販促イベントごとの収支

  レストランの「〇〇〇フェア」、期間限定宿泊特別プラン、年末のおせち販売等の、期間中の収支。

通常営業の場合の粗利と比べて増益になっていたか?

 

・案件ごとの収支

  宴会案件、宿泊の団体案件、等

 

・書き入れ時の売上と収支

  正月・GW・夏休み(お盆)・大型連休の期間中の売上と収支。

それらの特日を含む月次の成績だけでなく特日の期間にフォーカスして数字を把握する。

場合によっては、通常日とは異なる販促費を使う場合もあると思いますのでそれらのコストも含めて。また、過去実績との比較をするときには投入したプランや曜日の巡り合わせが毎年同じケースもありますし違うケースもあると思いますので、それらも勘案して比較検討をする。

 

などです。

 

いずれも、粗利はそんなに律儀に厳密に計算する必要はありません。財務報告上の数字を取りまとめるのではありませんので営業現場で出来る範囲で構いません。

飲食材等の材料原価、客室コスト(消耗品、清掃費、リネン費)、外部施設と提携する場合にはその仕入れ金額、配膳会や臨時パートアルバイト等の外部人件費、その他その案件独自に発生するコスト、あたりまでを差し引いた値を粗利とすることで良いと思います。

また、宴会や宿泊の団体案件は、毎回計算する必要はないと思います。通常パターンについて一度算出しておけばそれ以外の案件についてのみで構いません。

 

このような習慣を持つことにより。経営者を筆頭に、現場スタッフも含めて「利益(≒粗利)」で商売を考える意識を養成できます。

特別なハンドリングを要する団体案件の受注の可否を、見せかけの売上規模だけに拠らずに適切に判断することが出来ます。

あるいは、おせち販売について、仮に25,000円・限定200個 =500万の売上。原価約50%としてその他販促費などを差し引けばおそらく手残りの粗利は200万ぐらいでしょうか? 年末に向けて200万の利益ベースの臨時収入が有難いかそれほどでもないか? おそらく全員総出で盛り込み作業などのヘルプ体制を敷いて取り組むであろう社員への負荷なども考慮に入れた上で適切に判断することができるでしょうし、社員の納得感の向上にもつながるものと思います。

何よりも、適正な販売価格の目安を把握することが出来ます。目標とする全館の営業例益を達成するためにはどのような商売を積み重ねる必要があるのかを正しく認識することができます。固定費の削減目標を設定する上での指標にもなります。

図1 宿泊プランのブレークダウン表.png
図1宴会収支.png
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