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Method

業績改善の具体的方法論

手作りのエクセルでできるレベニューマネジメント①

レベニューマネジメント、またはイールドマネジメント。

もはや、ホテル旅館業界の方でこの単語を知らない人はいらっしゃらないと思います。

ホテル旅館の料金が変動することはお客様の側もご存知であり、料金の変動幅があまりにも極端なケースなどを別とすれば、この販売手法は市民権を得ていると考えられます。

筆者は、かれこれ30年も前にアメリカのホテル会社の支社長に「ラックレート」と言ったら「それ、何のこと?」と言われてしまいした。当時の日本のホテル業界で通用している意味を説明したら「やっぱり、そういうのはあまり意識していないなぁ」と。「強いて言えば、一番ランクの低いファームレートが、それに相当するかなぁ」と。少なくとも、その支社長氏にとっては「ラックレート」という概念はさほど重要なことではなく、海外のホテルはそのような時代から既にルールとして様々なレートでの販売が行われていたのだと、今でもこの会話を覚えています。

 

一般的にレベニューマネジメントは「需要予測に基づいて販売活動をコントロールする」と表現されますが、そう言われても何のことだか今一つ解らないですよね。

もっと平易な言葉づかいをすると、「強い日(売れる日)は高い料金でも売れるが、弱い日(売れない日)は少々安くしてでも少しでも稼働率を稼ぐほうが得策である」ということです。青果などの相場変動と同じです。大量に入荷があれば値段が下がり、逆の場合には値段が上がります。そして、それを「経験や勘や度胸ではなく、科学的な判断に基づいて行いましょう」ということです。

 

昨今は、AIを搭載したレベニューマネジメントシステムも提供されており、また、一般的なPMS(ホテル運営システム)でもブッキングカーブのデータを抽出するオプションメニュ―などもあり、DX化は進んでいます。したがって、今更パソコンのエクセルで「手作り感」満載のルーチンワークをする必要はなくなってきているのかもしれませんが、それらは当然のことながら何かしらのコストが伴います。

また、仮にそのようなシステムを導入するにしても、まだ当分の間は、最終判断は宿泊部門の収益に責任を持つ「人」によるところが完全には無くならないでしょうから、そもそもの「レベニューマネジメントの考え方」をおさらいすることも何かの価値があると思いまして、本稿を進めます。

また、「手作りのエクセル」の具体的な中身と併せて、目指す水準のレベニューすなわち収入を、出来る限り確保していく「人」の基本動作についてもお伝えします。

 

レベニューマネジメントは色々な角度からの表現がありますので、先ず始めに、本稿に於けるレベニューマネジメントの基本的な考え方を定めておきます。

宿泊の売上について、OCC(稼働率)、ARPP(客単価)、DOR(1室あたりの宿泊人数)について、当期に、前期や売上計画で想定した事と全く同じことが起きれば、当たり前のことですが当期の宿泊収入は対前年(または対予算)100%です。

・仮にOCC(稼働率)が10%高くなれば、

OCC(稼働率)110% × ARPP(人単価)100% × DOR(1室あたりの宿泊人数)100%で、

収入は110%となります。

・仮に3つの指標全てが10%増しになれば、

OCC(稼働率)110% × ARPP(人単価)110% × DOR(1室あたりの宿泊人数)100%で、

収入は約133%となります。

・さらに、仮に

OCC(稼働率)115% × ARPP(人単価)95% × DOR(1室あたりの宿泊人数)95%のケースでは、

収入は約104%となります。

 

つまり、稼働率や単価などがそれぞれどのように上昇下降するにしろ、それらの組み合わせの結果として前年実績なり売上計画に対して100%を少しでも上回るようにする(下回らないようにする)ための作業がレベニューマネジメントであると捉えます。(勿論、当期の売上が対前年比較で100%を僅かでも上回りさえすれば良いのもっと大幅に増収しなければならばいのかという経営上の判断や、収入ベースだけでなく利益ベースの議論も重要、などのことがありますが、それを論ずるとかなり複雑な話になってしまうので本稿では割愛します。)

 

そして、「手作りのエクセルでできるレベニューマネジメント」は、いくつかの「小道具」をエクセルで作成することで始めることが出来ます。

具体的には、

  • 販売プランのブレークダウン表

  • レートテーブル(料金一覧表)

  • 稼働ランク vs レートの対応表

  • 稼働ランクの過去実績表(前期、または前期と前々期ぐらい)

  • レート指示書

  • ブッキングカーブ

  • 団体案件管理表

  • イベント情報リスト

です。

 

では、以下、ひとつずつ具体的に見ていくことといたします。

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